前々からやろうと思っていたのですが、なかなか時間取れず放置していたトリプルライトのメンテナンスを行いました。
今回の主役、トリプルライト君です。正式名は不明ですがアメリカでは良く、トリプルとかマルチって呼ばれたりしていますので、僕もトリプルと呼んでいます。
本体にロゴやメーカー名が記載されていれば、特許ナンバーや当時のカタログなどを調べ、いつ頃生産された物なのか特定する事が出来るのですが、このライトには一切そのような情報が残されていなかったので、ビスやレンズを見て作られた年代の推測を行いました。
まず使用しているビスはマイナスのみです。プラスビスが流通し始めたのは1935年以降と言われております。ビスだけで判断するのも難しいので、レンズも確認してみました。厚みがあって気泡の入ったレンズとなります。1920年代に作られたKDのテールに使用されているレンズと非常に似ています。気泡のサイズも時代判別の大きな手掛かりとなりますね。気泡のサイズを見れば当時のキャスティング技術がどれぐらいだったのか判断が可能です。
レンズの表面をよく見ると「シワ」のようなものがあります。まぁガラスなのでシワが出来るはずはないので、レンズを製作した際に使用した型の面精度が悪かったんでしょう。
ついでにリフレクターも確認しましたが、カドニウムリフレクターなので1950年以前に作られた物で間違いないです。ナンバーステーサイズは車用ですね。当時流通していた車はfordのmodel-TやAですが、大衆車向けにしては中々こった作りをしていますので、恐らくstudebakerやlincolnなどの高級ライン向けに作られた物ですかね?当時の販売価格も高かったと思います。
似た形状のYANKEE製の物とテレオプ製の物も持っていますが、どちらも特許申請が1920年代にされいましたので、このライトも1920年~1930年代後半に作られた物で間違いないかと思います。
僕は長年ヴィンテージのライトを専門で扱ってきていますので、ビスやガラス以外にもレンズのカットや使用されている材料などをみれば何年頃の物か判断できますが、「古いから、古そうだから」など根拠のない理由で年式判断はしたりしません。せっかくトラディショナルに作り上げた車両なのに間違った年代の部品はつけたくないですからねー。
それでは早速、ばらします。
邪魔な配線をはがしました。外皮が布のみの昔ながらの配線ですね。
最近の布引配線は銅線→ゴム→布の順番で巻かれています。
プラグも中々こった作りです。オスメスで取り合うタイプとなっています。配線は劣化が酷いので、再利用は致しませんが、プラグは使えそうなら使いたいです。
続きまして、フェイスをはがしました。ガスケット無しです。年代から考えるとコルクガスケットが入っていても良いはずですが、風化してしまったんですかね?
レンズは挟み込んで固定されていました。リベットを外さないとレンズを取り外すことが出来ない構造です。レンズも外したかったのですが、今はリベットをさらう事が出来ませんので、この辺は後ほど。。。
ライセンス用の窓やステーを取り外しました。ステーのビスは錆びて固着していましたので、今流行のラストブリザードを吹き掛け取り外しました。昔ならクラッカーで割ったり、バーナーであぶったりして取り外しましたが、ラストブリーザーなら家の中でも出来るので便利です。熱によるメッキの変色の心配も無いですね。
ライセンスステーにリフレクターを付ける際に使うコイルが挟まっていました。今となってはさびさびですが当時はどのように使用されていたのかを想像するとわくわくしますね。メッキでピカピカの本体に綺麗なカットレンズのリフレクターでドレスアップしていたのでしょうか?
残念ながら本日の作業はここまでです。残りの作業は完了次第アップロードいたします。