ハーレー、トライアンフヴィンテージバイクの球切れについて

良く球が切れてしまうのですが、どうすれば良いですか?といった質問を良く頂きますので、原因及び対策について記載させて頂きました。

1.電球の構造

light

電球は「フィラメント」「口金」「ガラス」の三つから構成されています。ガラス球の中は真空もしくはアルゴンなどの不活性ガスが封入してあります。

1-1.発光原理

フィラメントに電流を流し、電流により生じた電気抵抗により光が発生致します。6Vの電球に12Vを流すと球が切れるのはフィラメントが電気抵抗に耐える事が出来ず焼き切れてしまう事(蒸発)が原因です。因みに、電球を発明したのはトーマスエジソンですが、彼が電球を発明した当初のフィラメントには炭化させた竹が利用されていました。(現在の電球フィラメントにはタングステンが使用されています。)良質なフィラメントの材料を探し、彼のアシスタントが世界中を飛び回り探し出したのが竹です。エジソンが使用した竹は日本の京都で取れた物でした。

1-2.電球が切れる原理

発光原理と球切れには密接な関係があり、電球が光る原理を理解すれば切れる理由も自ずと理解する事が出来ます。電球はフィラメントの電気抵抗により光りを生成する都合上、フィラメントは常に高温状態に晒されています。高温状態が続く事により、フィラメントは少しずつ蒸発してしまい、最終的には焼き切れてしまいます。これが球切れです。現在販売されている球には蒸発(酸化)を防ぐ為に不活性ガスが挿入されていますが、使用状況や取り付け方法などにより、ガスの微小リークや劣化などにより最終的にフィラメントが切れてしまいます。

light2

2.ハーレーやトライアンフ等の古いバイクで良くある球切れの原因

さまざな原因が考えられますが、頻繁に球が切れるようでしたら、電装系の故障の可能性が高いです。

2-1.レギュレーターのパンク

regulator

古いバイクで多いのがレギュレーターの故障によるオーバーロードです。レギュレーターは電圧が一定以上の値に上がらないよう制御する機器です。発電機(オルタ、ジェネ)とバッテリーの間に配置されている黒いフィンの付いた四角いやつがレギュレーターです。一部の車両ではバッテリーがレギュレーターの役目を果している車両もありますが、そのような車両にはレギュレーターが取り付けられていません。

2-2.振動による球切れ

バイクの場合振動による球切れの可能性も考えられます。発光原理の項目でも話しましたが、現在の電球はフィラメントの蒸発(酸化)を防ぐ為に不活性ガスが挿入されています。振動により口金とガラスの隙間からガスが漏れ、フィラメントが蒸発して球が切れる事もあります。レギュレーターの故障が原因の球切れは同時に何ヶ所かの球が切れますが、振動や、熱(放熱性の悪さ)などが原因の球切れはピンポイントでおきます。

3.球切れへの対策

3-1.レギュレーター

tester

最近のレギュレーターはIC制御の物が多いので、壊れた場合自力で直すには専門的な知識が必要となります。壊れたら新品への交換が一番簡単です。レギュレーターが故障しているかどうかは、エンジンを掛けヘッドライト点灯させて、バッテリーの電圧を計れば解ります。エンジン回転数を上げ、バッテリーの電圧が13~15V位までにおさまっていればOKです。レギュレーターが故障していると過電圧が発生する可能性がありますので、テスターは大きめのレンジで測定を行ってください。電圧が低い場合は発電系そもそもの故障も考えられます。

3-2.振動

振動による球切れが原因の場合ラバーなどを追加して振動を和らげるなどの対策が必要となります。

3-3.熱

熱が原因の場合はW数を下げて、球自体の発熱量を下げるか、ハウジング(ライトケース)への改良(加工)が必要となります。

3-3.LEDへの変更

最近良くご依頼を受けます。熱や振動が原因の球切れの場合は電球自体を従来の白熱球タイプかLEDへと変更を行います。LEDは白熱球と違いガラスや不活性ガスなどを使用していませんので、振動や衝撃に強いです(オーバーロードには弱いです)。また、発熱量自体も白熱電球と比較するとかなり小さいです。スパルトやマーカーライトなどの限られた空間の中でオリジナルのボディーに手を加えずに熱対策を行うにはとても優れた方法かと思います。

 

4.エレクトロラインN5-LED導入

今回はエレクトロラインN5のソケットをオリジナルの物から汎用性の高いE10タイプへの変更のご依頼を頂きました。E10タイプへの変更と同時にLEDバルブも導入です。N5はオリジナルのデュアルソケットが、良好な状態で残っている物でした。バックプレートの状態も良かったので、本体の穴加工などは行わずにE10ソケットの導入を行う方向で進めさせて頂きました。状態にもよりますが、オリジナルのソケットステーをとり、バックプレートの穴を拡張して新しいソケットを導入する方が、配線の取り回しやアースの事を考えなくて済みますので簡単です。

 

こちら追加前となります。

エレクトロライン

オリジナルの光り方に近いように、直行タイプのLEDを使用致しました。上の赤がLEDで下がオリジナルの豆電球となります。

ヴィンテージライトLED

レンズを付けるとこんな感じに光ります。テールランプに使用予定との事でしたので赤色LEDを使用致しました。色は違えど、オリジナルに近い光り方だと思います。

ヴィンテージライトLED2

光り方に問題が無い事を確認致しましたので、E10ソケットへ交換致します。今回はいつでもオリジナルの状態に戻せるように、E10ソケットとオリジナルステーはろう付けで固定を行いませんでした。

ヴィンテージライトLED化

オリジナルの配線では12Vには耐える事が出来ませんので、配線は現行の布引配線へと変更を致しました。コルクガスケットも傷んでいましたので作り直しました。

electroline

オリジナルのステーを使用せずに、ダブル球ソケットを導入する方法も御座いますが、個人的にはヴィンテージ感漂う左右別体で光るオリジナルの光り方が一番好きです。

 

 

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